人は心から老いていく、を忘れるべからず
「病は気から」といいますが、同様に「老いは心から」だとつくづく思います。体の機能は使い続けてさえ入れば、思いのほか機能低下を起こしませんが、「もう年だから」「私なんて」という意欲の減退は、前頭葉の委縮を招きます。前頭葉の役割は、やる気の司令塔です。
大きな感動は前頭葉に刺激を与えて心や脳の栄養となり、健康や美容に大きな影響を与えます。
より鮮烈な感動を味わうために、シズル感ある生のもの、あるいは本物にふれてください。
音楽はコンサート会場に足を運び、絵画は美術館で鑑賞しましょう。ちなみにパリジェンヌは、日頃から文化や芸術に接するのはもちろん、週末になるとよく田舎に出かけます。自然の中で五感を刺激し、都会生活のストレスを発散させてバランスをとっているのかもしれません。
感動やチャレンジにどん欲な若々しい心が、前頭葉を活性化させ、健康を維持し、延いては美しさに磨きをかけることに役立つのです。
“変化”も個性と考えてみませんか?
シミ、シワ、たるみ、白髪……鏡の中で自分の老いを確認するたびに、あなたは「もう若くはないのね」とため息をついているかもしれません。
でも、老いるということは、そう悪いことばかりでもありません。
移り変わる身体の変化をゆるやかに感受し、楽しむこと。白髪の人にしかできないカラーリングを研究したり、だんだん動きが鈍くなる身体を慈しむことで“できないこと"ではなく“できること"に目を向けたり。
限られた時間の中で何もかもできないとわかると、優先順位が明確となり、自分にとって本当に大切なものが見えてくることもあるでしょう。
失ってゆく恐怖。絶望的な喪失感。これらに支配されると、いまここの幸せを信じられなくなってしまいます。それはなんともったいないことでしょうか。
老いは人間をより個性的にしてくれるチャンス。老いを受け入れることが楽しいと感じられるくらいになれば、もう免許皆伝。何もこわいものはありません。
出典:著書「日本女性のための本当のスキンケア」より(内容は掲載に際し適宜編集しております)